[2016/03/09] (最終更新日 2021/06/29)
サブドメインとサブディレクトリ、どちらがSEO対策に有利?
新しいサイトやブログを立ち上げる時など、サイトを「サブドメイン」と「サブディレクトリ」のどちらに設置するか、悩むことがあります。また、サイト内に別の話題のページがある時にもそれぞれの話題ごとに「ディレクトリにまとめる」方法が良いのか、「サブドメインにまとめる」方法が良いのか判断に迷いますね。
特にビジネスサイトだと、どちらの方法のほうがGoogleから高く評価されるか、しっかり考える必要があります。
SEO対策にはどちらが有利なのか、そもそもどういった違いがあるのか、本記事で説明します。
目次
ディレクトリ?それともサブドメイン?
Google公式オンラインQ&Aイベントにて、スポークスパーソンであるジョン・ミューラー氏に、こんな質問がありました。
自社サイトでは、似たようなトピックが5つあります。(それぞれのページの)内容は十分違っていて、別々のディレクトリに入れる方法もあるかとは思いますが、当社はそれらをサブドメインにまとめています。この方法で順位に何か悪影響はありますか?
この質問に対するミューラー氏の回答が、下記のようなものでした。
通常なら、何も悪影響はない。
Googleは、サブドメインもサイト内の一部分として見る。ディレクトリでも同じだ。
ただ、サブドメインの場合は、ワイルドカード( * )が入ったサブドメインかどうかは注意すべきだ。数が少ないならともかく、これが入っていると、Googleがうまくクロールできなくなるので。
ワイルドカードが入っているようなトリッキーな作り方でないかぎり、サブドメインでもディレクトリでもどっちでもかまわない、ということのようです。
さらにミューラー氏は、このようにも付け加えています。
また、完全に別々のサイトをサブディレクトリで管理してたら、それはそれでGoogleは(違うサイトとして)理解するだろう。また、同じドメインとかホストネームの中にあるけど、こっちはまた別の、ユーザー生成コンテンツ(CGM/UGM)だなとか、全然違うサイトなんだなとか、そういうのもGoogleは理解できるだろう。
つまり、サブドメインかディレクトリかではなく、コンテンツの方が重要なんだ。Googleアルゴリズムは、コンテンツの違いを理解したうえで順位付けやコンテンツの区別をするんだ。
ミューラー氏の発言を総合すると、SEO効果を考えるなら、「ディレクトリかサブドメインか」といったテクニカルな(=細かい)ことは気にせず、最も重要な点を改善すべき、と解釈できます。
今回に限らず、SEO対策について語る際のGoogleはいつも、基礎SEO対策の大切さを強調します。いずれも地道な対策ですが、横道にそれず続けることが一番の近道になります。対策の優先順位を間違えないよう気をつけましょう。
サブドメインとサブディレクトリの「見た目」の違い
それではサブドメインとサブディレクトリの違いを確認しましょう。最も基本的な違いとしては、あるサイト(ドメイン)の中の「どこ」に作られるか、という違いがあります。次の表をご覧ください。
サブドメインは「分家」、サブディレクトリは「(同じ家の)別の部屋」
元のドメインが「seopack.jp」だった場合、サブドメインは「●●●.seopack.jp」のように前方に、サブディレクトリは「seopack.jp/●●●」のようにスラッシュ( / )を挟んで後方に入ります。
ドメイン前方のサブドメインは、いわば、元ドメインの「分家」のような扱いです。実の親戚関係ではありますが、互いに別の住所に住んでいる、という感じです。
一方、ドメイン後方のサブディレクトリは、いわば、元ドメインの中に仕切られた「別部屋」といったイメージです。暮らしている部屋は違っても、同じ住所の同じ家に済んでいる、という感じです。
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新規サイト立ち上げ時の、使いみちの違い
新規でサイトやブログを立ち上げる時など、新しくドメインを借りて新しくアナリティクス設定などを行う場合が多いかもしれません。
しかし、もしあなたが既に管理サイトを持っている場合は、サブドメイン、もしくはサブディレクトリのどちらかに新規サイトやブログを設置すれば、いずれの方法でも追加費用は発生せず、またそれぞれに管理メリットもあります。
しかし、どういうときにサブドメインを、どういう場合にサブディレクトリを選べばよいか、悩むことがあります。そうした場合は、「もともと持っている既存サイトと関係のあるテーマのサイトかどうか」を考えることで、いずれか最適な方を選ぶことができます。
新規サイトのテーマが既存サイトと違うなら、サブドメイン
既存サイトと異なるテーマのサイトを立ち上げる場合は、サブドメインを選びます。こうすると、新規にドメインを取るよりも費用がかからず、しかも既存サイトと新規サイトを、それぞれ別のサイトとして切り分けて管理できます。
例えば、あなたの会社が呉服店で、既に「呉服」の関連コンテンツが豊富に掲載された会社サイトが存在するとします。そして、この会社で新規事業として「タウン情報」サイトを立ち上げるとします。タウン情報サイトには、呉服関連の情報は載っていません。
こうした場合は、サブドメインを選択するのがよいでしょう。呉服会社のサイトとタウン情報はテーマが全く違うため、サブドメインで分かれた「別々のサイト」として管理すると、運用しやすいはずです。
同じ、あるいは関連したテーマの新規サイトなら、サブディレクトリ
あるいは、既存サイトと似たテーマのブログを立ち上げる場合などは、サブディレクトリに設置します。
例えば、すでに「呉服」販売の会社情報サイトがあって、新規に「着付けと着物のブログ」を立ち上げるとします。それぞれコンテンツは違いますが、呉服、着付け、着物と、どちらも関連したテーマを扱うサイトと言えます。
こうした場合は、サブディレクトリにブログを設置するとよいでしょう。テーマが似通っているということはサイトに来るユーザーも似通っているはずで、お互いの管理情報を一元管理したり、さらに効率のよいWebマーケティング戦略を練ることもできるでしょう。
どちらを選ぶかでSEO効果には変化がある?
ビジネスサイトであれば、サブドメインとサブディレクトリで、SEOにどういった影響があるのかが気になるはずです。しかしGoogleは、どちらを選んでも順位評価にはほとんど影響がない、と発表しています。
例えば、仮に同じコンテンツがある場合、サブドメインで公開してもサブディレクトリで公開しても、そこで順位に差が付くことはない、という意味です。しかし、一つ覚えておきたいのは、サブディレクトリのページ(サイト)は、元ドメインのGoogle評価を引き継ぐ、という点です。
特に、元サイトのテーマが新規サイトと関連している場合などは、サブディレクトリに設置すれば、新規サイトにSEO評価を引き継がせ、早い段階から検索順位を上げることも可能です。あるいは逆に、サブディレクトリの新規サイトについたSEO評価を、元ドメインに渡すこともできます。
上記では「サブディレクトリなら、元ドメインとSEO評価の受け渡しができる」と書きましたが、サブドメインなら全くSEO評価が行き来しないかというと、そうでもありません。
例えば、ある当社検証テストの際、サブドメイン側に起きた大きな順位変動が、元ドメインにも派生したことがありました。それぞれのサイトでリンクなどのつながりはなかったため、サブドメイン側の評価が元ドメインにも派生したようです。
とはいえ、これは特別なケースで、大まかには「SEO評価の受け渡しは、サブディレクトリなら大きく、サブドメインは小さい」と理解しておくのがよいでしょう。
使いみちとSEOとの関連 まとめ
このような、サブドメインとサブディレクトリの用途・特徴の違いをまとめたのが、次の表になります。
サブドメイン | サブディレクトリ | |
---|---|---|
運用コスト | かからない | |
管理の手間 | 新規に設定が必要 (既存サイトと別サイト扱いのためDNSなどからGoogleアナリティクスまで新規に準備必要 |
特別な設定は不要 (既存サイト中にディレクトリが増えるだけ) |
元ドメインと間の SEO評価受け渡し |
小さい | 大きい |
適した大まかな用途 | 新規なテーマのサイト立ち上げに 既存のサイトとは全く異なるテーマの新規サイトやブログを始めたい場合 |
同じか関連あるテーマのサイト立ち上げに 既存のサイトと同じ、もしくは関連性のあるテーマ新規サイトやブログを運営したい場合 |
検証実験:サブディレクトリのSEO効果を確認
サブディレクトリではSEO評価の受け渡しが行われる、と説明しましたが、それを検証するため当社にて行なった実験があります。この実験は、下記のようなものです。
実験の概要 | |
---|---|
実験の目的 | あるサイトのサブディレクトリに、テーマの関連した別ドメインの別サイトを移設し、順位が上がるかどうか(Google評価が受け渡されるか)を確認する |
実験サイト詳細 | サイトA:「渋谷の住宅」についてのサイト サイトB:「恵比寿の住宅」についてのサイト ※「渋谷」「渋谷区内恵比寿」で各テーマは関連性がある |
実験の詳細 | サイトA(渋谷の住宅)の新しいサブディレクトリに、サイトB(恵比寿の住宅)を、まるごと移設して順位の動きを見る |
SEO評価の受け渡し、予測通り確認される
実験の結果、関連コンテンツを持つサイトBを統合したサイトAでは、検索順位の上昇が見られました。
このことから、元ドメインとサブディレクトリとの間で、SEO評価の受け渡しが行われていると考えられます。とくに今回の実験では、関連するテーマのサイト同士をサブディレクトリとして統合したため、相乗効果でGoogle評価が総合的に高まったといえます。
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元サイトのSEO対策評価は引き継がせることができる
最初に述べたように、ページ単体、もしくはサイト単体で考えれば、サブドメインとサブディレクトリのどちらを使っていても、GoogleからのSEO評価は特に変わりません。
しかし、元のドメインに、既にSEO評価がついていて、しかも似たテーマのサイトやブログなどを追加したい場合は、その元ドメインからのSEO評価受け渡しを十分に考える必要があります。
つまり、似たテーマでSEO効果を引き継ぎたければ、サブドメインではなくサブディレクトリを使うべき、ということです。
もちろん、元のサイトで基礎SEO対策を行なっていない場合は、Googleからの評価もそもそも十分になく、評価の受け渡しも発生しません。まずは全ての運営サイトで必須のSEO対策を済ませておいたうえで、サイト移設や追加の際は、状況に応じてサブドメインかサブディレクトリかを判断してください。
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