[2016/05/20] (最終更新日 2018/05/24)
ウェブブラウザ 日本でのシェア「IEは2位」…では1位は?
ウェブブラウザで最も有名なものがMicrosoft社の純正ブラウザ、Internet Explorer(IE)ですが、この他にも現在では、Google製のChrome、Apple純正のSafari、Mozilla製のFirefox、ノルウェーで開発されるOperaなどがあります。
それぞれ対応する機能や操作は異なっていますが、その利用者シェアはブラウザごとに大きな開きがあり、またパソコン(PC)とスマートフォン(スマホ)でも大きく変化します。
本記事では、主なソースからの日本国内ブラウザシェアの最新統計データと関連SEO対策を解説します。
パソコンでの国内ブラウザシェア
まずは、StatCounter
パソコンでの国内ブラウザシェア:2016年1Q(StatCounter)
最初に確認するのは、パソコン環境での直近データ(2016年2月~4月)です。
Chromeが1位となり、かつて多大なシェアを専有していたIEは2位にとどまっていることがわかります。ChromeはIEの1.3倍ほどのシェアを抱えています。
かつてのパソコンユーザーは、大部分がレディメイド(既成品)として用意されたデフォルトブラウザー、つまりIEを、なんの疑いもなく利用していました。しかし現在では、そうした「受け身のユーザー像」が崩れ、自分に合ったブラウザを積極的に活用している様子が伺えます。
IEと覇権争いを続けていたイメージのあるFirefoxは、少なくとも国内では3位に甘んじています。それでも1位~3位を合わせたシェアは全体の86%となり、SafariやEdgeを含む他のブラウザとは水をあけています。
パソコンでのブラウザシェア:年間推移(StatCounter)
次に、パソコン環境でのシェアを直近一年の推移(2015年5月~2016年4月)で見てみます。
かつてトップだったIEは2015年6月をピークにその後下降をたどり、10月にはChromeに抜き去られるという変節点を迎えています。
このIEのシェア下落期間、8月にはWindows 10がリリースされています。この際Microsoftは後継ブラウザ Microsoft Edge(Edge)を新たなデフォルトブラウザとして選んでいますが、IEのシェア下落は、このWindows 10リリースの影響が大きいでしょう。
なおEdgeはまだまだシェアが低く、この年間グラフには現れていません。様々な環境変化に伴い、(おそらくAndroidなどで既に認知があった)Chromeに流れたユーザーが多かったのではと推測できます。Firefoxなどその他ブラウザも上記の変節点を境にシェアを一様に上げているのも、Windows 10リリースと無関係ではないでしょう。
スマホでの国内ブラウザシェア
次に、スマートフォンでの国内ブラウザシェアを見てみます。
スマホでの国内ブラウザシェア:2016年1Q(StatCounter)
スマホでも、まず直近データ(2016年2月~4月)を見てみます。
スマホでのブラウザシェアは、圧倒的なシェアでApple製ブラウザSafariが1位となっています。もちろんiPhoneのデフォルトブラウザとしての利用が大きく影響しています。
続いて2位がChrome、3位がAndroidですが、それぞれ20%未満、合わせても34%で、Safariの66%に遠く及びません。スマホ市場におけるiPhone一強の勢力図がよくわかるデータとなっています。
また、パソコンシェアでは名前が上がっていたFirefoxとOperaが、スマホでは影も形もありません。両ブラウザはスマホ版もリリースしていますが、PC版の状況と比べると、スマホシェア獲得は全くと言っていいほど進んでいないことがわかります。
スマホでの国内ブラウザシェア:年間推移(StatCounter)
こちらも、次はスマホ環境での国内シェアを直近一年の推移(2015年5月~2016年4月)で見てみます。
年間推移で見ると、Safari(Apple)の覇権がさらに鮮明に見えてきます。起点となる昨年5月(グラフ左端)から一貫して他を大きく引き離し、圧倒的1位をキープし続けています。
同じOSデフォルト採用ブラウザでも、かつてWindows PCで独占的地位にありつつ凋落の影を見せるIEと、安定したシェアを誇るSafari(iOS)の相違は際立っており、スマホでのApple経済圏がどれほど強固か、うかがい知れる気がします。
続くChromeとAndroidのシェアは、2015年8月頃に順位を入れ替え、Chromeはほぼ安定して2位、Androidブラウザは連続して右肩下がりをたどっています。グラフ右下で、2016年3月からSamsung Internet(青い線)が姿を表していますが、4月もシェアは変わらず、今一つの伸び率です。
ワールドワイドの統計は?
ここまで日本国内のブラウザシェアを見てきましたが、では、諸外国を含めたワールドワイドの統計ではどうでしょうか?
同じくPCとスマホの両方で、シェアを確認してみます。
PCでの世界ブラウザシェア:2016年1Q(StatCounter)
全世界のパソコンブラウザシェアを、直近のデータ(2016年2月~4月)で見てみます。
日本ではChromeとIEが僅差であったのに比べ、ワールドワイド統計では、1位のChromeが、2位のFirefoxの2倍以上となる抜きん出たシェアを獲得しています。
これは、日本に比べ、諸外国の方が、より多様な環境でパソコンやインターネットを利用するのに抵抗がない(もしくはそうせざるを得ない)ためでしょう。多種多様なPC環境に依存せず高い操作性を発揮できたのがChromeであり、またそれに続くFirefoxだったと思われます。
IEはFirefoxに続き3位に甘んじています。もっとも、今後はシェアがじりじりと減少し、EdgeもしくはChromeなどの選択肢に散っていくでしょう。
Mac標準のSafariは、グローバルシェアだと4位、占有率は5%にとどまっています。パソコンでいうとMacはやはり大部分のWindows機よりも高級機で、幅のあるグローバル経済圏で見ると、日本国内よりもシェアは落ちるものと思われます。
一方Edgeは2%と、国内シェアよりも存在感を示しています。これも、Windows旧バージョンからWindows 10という新しい環境へ移行するのをためらわない(あるいはそうせざるを得ない)諸外国の特質が現れているかもしれません。
スマホでの世界ブラウザシェア:2016年1Q(StatCounter)
今度は、世界のスマホブラウザシェアを、直近データ(2016年2月~4月)で見てみます。
日本のSafari寡占状態とは異なり、グローバルシェアでは、Chromeが1位につけています。2位のUC Browserは、中国はじめアジア圏で圧倒的な人気の中国製ブラウザで、Androidを中心に、すでに10億以上のユーザーを抱えています。
続く3位が、ようやくSafariです。アジア圏などAndroidが強い国が多く、Safariシェアは日本よりも大幅に小さくなっています。それにAndroid、Samsung Internet、その他のブラウザが続き、やはりPC同様に多様なブラウザがひしめき合っているのがわかります。
ブラウザシェアから考えるSEO対策
特に日本国内の状況に限って言うと、パソコンではChromeとIE、スマホではSafariが大部分のシェアを獲得しています。
もちろん、Google検索アルゴリズム(検索順位を決めるプログラム)
「自分の環境ではブラウザごとに順位が違うが…」と思った方もおられるかもしれませんが、それはブラウザごとのユーザー履歴に合わせた検索結果が表示されているためです。ユーザー履歴ごとに検索順位は変わりますが、ブラウザが違うだけでは順位は変わりません。
スマホの「Safari一強」に注意を
では、このブラウザシェアはSEO対策と全く関係ないか…というと、全くそうでもありません。特に気をつけたいのが、スマホブラウザのシェアがSafari一強になっていることです。
つまり、国内ユーザーを対象としたサイトを運営する限りにおいて、Safari(iPhone)環境でのユーザビリティにはじゅうじゅう配慮する必要があるということです。
多様な環境向け対策には、「基本」を押さえよう
現在Googleはモバイル検索へ大きく注力しており、モバイルフレンドリーアップデートへの対応はもちろん、AMP(Accelerated Mobile Processing)対応やモバイルリダイレクトの適正化といった課題が、ウェブマスターにつきつけられて久しいものとなっています。
そんななか、iPhoneでのサイト表示確認、あるいはコンバージョン挙動をはじめとする動作確認、さらにはサイト内で用いるマーケティングツールのiPhone動作確認など、ごく基本的な所でのiPhone対策を整えなければ、SEO対策以前に訪問ユーザーに価値を提供できなくなります。
また、モバイルでもパソコンでも、どちらにも共通するSEO対策は当然必須です。コンテンツを高品質化する、自然なリンク対策(→SEO総合パッケージ SEO Pack での対策
これらを済ませることで、ブラウザに起因するSEO周辺の問題はほとんど回避できるはずです。もちろん、今後のブラウザ関連情報アップデートにも注意を配って下さい。本ブログでも逐次、こうした統計情報やSEO関連の技術情報をお伝えしていきます。
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